不動産登記が義務化されます
7月19日の日経新聞に『所有者不明土地の活用促進 法改正検討再生エネ・防災に』という記事がありました。
「政府が所有者不明土地を活用しやすくする法案の検討に入った」というのが記事の主旨です。
全国的に所有者不明土地の存在が問題になっています。
所有者不明土地とは不動産登記簿や固定資産税課税台帳などからも所有者が特定できない不動産のことを言います。
従来から不動産の所有者は「不動産登記簿」に記載されることになっています。しかし、この記載事項に変更があった場合の変更登記はこれまで義務ではありませんでした。
マイホームを取得した際には合わせて住宅ローンを組むことが多く、合わせて抵当権が設定されます。そのため、抵当権設定と合わせて土地の所有権者の変更登記が必ず行われます。
所有者不明土地が発生してしまう最大の要因は「相続」(約67%)、次に多いのは「住所移転未登記」(約32%)です。
相続や住所移転を原因とした変更登記は売買と違い、すぐに影響が出る第三者がいないことから、所有者にすぐに不都合が生じることが少ないことは事実です。
所有者不明土地問題がクローズアップされたのは東日本大震災からの復興事業に支障が生じたことでした。土地の収用交渉などがスムーズに行えない事例が多発したことから、実情を調査したところ、日本国内における所有者不明土地の面積の合計は国土全体の10%以上、九州の面積を超えると予想されることがわかりました。
所有者不明土地の存在は災害復興だけでなく、公共事業や地域の再開発などの障害となっています。
不動産の所有者情報に変更があった場合に登記を行わない弊害は所有者自身にもあります。
特に、次の相続発生時やその不動産を売却したいと思った時に問題が生じます。
売却しようとした際に自分自身が所有者であることを証明する書類がそろわず、苦労することが少なくありません。
また、直接所有者に関する情報ではありませんが、すでに返済を終えている借入金等の抵当権が抹消されないまま残っていることもあり、これも売却の際に大きな問題になることがあります。
今年4月に不動産の相続登記や住所移転登記を義務化する法案が可決されました。2023年には施行され、法律施行後に発生する相続はもちろん、すでに変更登記が必要な状況にもかかわらず行われていない不動産の登記義務者にも適用され、罰則(過料)も設けられました。
自分自身や家族のため、そして社会のためにも相続登記は可能な限り早く行っておくべきです。