中国のトレイルランニング大会で死者
中国北西部甘粛省で行われたトレイルランニング競技で21人が死亡するというニュースがありました。
かつて自分もトレイルランニングを少しかじった経験があります。
自分がトレイルランニングで最も長い距離を走ったのは2014年4月の終わり、富士山の外延部を走るSTY(Shizuoka To Yamanashi)の90㎞あまりの距離を約22時間半で完走(完歩?)しました。
トレイルランニングは平面距離だけでなく、累積標高差(登りの高低差だけをカウント)によってそのレースの強度が評価されます。
私が出場したSTYは総距離91.5㎞、累積標高差4715mでした。
今回死亡者が出た中国のレースの累積標高差はわかりませんが、距離から推測するとトップランナーは12時間程度でゴールすると考えられます。
多くの人が知っている通り「山の天気は変わりやすい」のが常識です。
周辺の気圧配置や風向きなどにより、湿った空気が山を駆け上がる結果、急速に空気が冷やされ雨雲が生成され、突然の豪雨に見舞われたり、急激な気温の低下が起こることがあります。
今回の中国でのレースで亡くなられた方の中にはトップランナーもいるようです。
亡くなられた方にはお悔やみを申し上げます。
しかし、トップランナーだからこその気のゆるみがあったのではないかとも思います。
私のような亀さんランナーでもトレイルランニングでは山の中で独りぼっちになるタイミングがあります。
夜中も走っており、当然街灯もなく、ヘッドライトの明かりだけが頼りです。
ましてや雨が降れば視界が狭まり、滑りやすくなります。
走り続けていればまだしも、止まることを余儀なくされた場合には急激に体温が下がります。
そんな状態で滑落でもすれば「誰にも見つけてもらえないのではないか」と感じ心細くなります。
長距離トレイルランニングの大会では装備品も規定され、防寒対策が求められますが、ランナーは少しでも装備品を軽くすることが有利になるため、装備も必要最小限にしようと考えます。
私が出場したSTYでも人によっては小さなバックパックで参加している人がおり「本当に全部持ってるのかな」と思う人もいました。
山の中では舗装路を走るマラソン、ウルトラマラソンとは異なり、コースのほとんどの場所は車両が入ることもできません。
補給場所(エイド)がところどころに設けられていますが、エイドごとに「次のエイドまで行けるか」を自分自身でシビアに判断することが求められます。
判断の基準は自分自身の体力はもちろんですが、天候状況も含め複合的な要素を考えることになります。
まさに文字通り「命に係わる判断」であり、自己責任です。
もし、途中でリタイアすることにしても自分自身で下山しなければなりません。
天候が急変したとしても自分の身は自分で守らなければなりません。
今回亡くなられた方々はこうした自己責任での判断を誤ったという見方ができることもまた事実だと思います。
トレイルランニングだけでなく、一般の登山や気軽に行くことのできるピクニックであっても同じことです。
慣れが生んだ慢心がなかったか。
私の知人には今もトレイルランニングを続けている人がいます。
こうした痛ましい出来事を教訓に、何事にも慢心することの無いよう気持ちを引き締めたいと思います。