老朽マンション再生促す(今日の日経)
本日(2月29日)の日経新聞2面に掲載された記事
「老朽マンション再生促す 適正管理の認定制度創設」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56208350Y0A220C2EA1000/
についての考察します。
平成13年にマンション管理適正化法(マンション管理の適正化の推進に関する法律)が施行されました。この法律は、「マンションの管理の適正化を推進するための措置を講ずることにより、マンションにおける良好な居住環境の確保を図り、国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与すること」を目的として制定されたものです。
この法律の改正案が、今国会で可決される見込みです。
その大きなポイントは管理組合なども含め、「マンションにおけるコミュニティ形成は、日常的なトラブルの防止や防災減災、防犯などの観点から重要なものであり、管理組合においても(中略)良好なコミュニティの形成に積極的に取り組むことが望ましい。」と明文化されることだと思います。
マンションは、一つの建物に多数の居住者が文字通り「一つ屋根の下」で生活します。建物及びその敷地の管理は管理組合を通じ、所有者が共同して行うことになります。管理会社はあくまでも管理組合が行う一部の業務を代行して行う会社であり、最終的な管理責任は管理組合、すなわちすべての所有者にあります。
2月20日の日経新聞にも下記の記事が掲載られていました。
マンション認定制度を創設 国交省、優遇措置も検討
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55395940X00C20A2MM8000/?n_cid=SPTMG002
マンションの管理組合の運営状況はマンションにより様々です。
特に築年数の経過したマンションでは、居住者の年齢層や所得状況も様々で、管理組合の合意形成がより困難になる場合がほとんどだと言えます。
昭和37年に施行された「区分所有法」(建物の区分所有等に関する法律でマンションの所有者(区分所有者)は年に一度は集会を行わなければならないこととされています。
しかしながら今日に記事にもあるように特に大規模なマンションなどでは、その出席者が少なく、また、役員を積極的に務める人が少ないことも問題になっています。合意形成が難しいマンションほど、役員を務めたいと考える人が少ないことは容易に想像できます。
管理組合のコミュニケーションが円滑でないと様々な問題が生じます。
特に管理費や修繕積立金の値上げ、大規模修繕や建替えなどの検討では、既に収入が年金だけのような世帯などでは生活を圧迫される恐れもあり、採択できないようなケースも起こり得ます。
しかし、そう下必要な議案を決議ができなかったり、集会そのものが開催できないようなマンションでは管理状態や財政状態が悪化していくことになり、改善も困難になります。
今回の法改正では、マンションの管理状態を評価し、適切に管理されている物件を認定する制度の創設が盛り込まれたとのことです。これにより、適正に管理されているマンションでは、自身の資産価値を高めることにつながります。売却する場合などには認定を受けていることで、購入者も安心して購入できるようになることから、他のマンションとの差別化を図ることもできます。
近年多数のマンションが集中して建設された豊洲などの湾岸エリアや武蔵小杉のような場所では、同じような条件のマンションでも認定を受けられたものとそれ以外とでは大きな評価差が出ることになるでしょう。
現在の中古マンションの売買では、マンションの管理状態などはほとんど査定価格、売買価格に反映されてきませんでした。
認定制度ができる事によって、やっとこうした「ソフト」の部分も含めた資産評価が行われることになるでしょう。
資産価値を維持・向上するためには、「誰かがやるだろう」という意識ではなく、積極的にマンションを健全に管理しようと考える所有者一人一人の意識が必要です。