逗子、がけ崩れ事故に見る擁壁の扱い
先週、逗子市でがけが崩れ、18歳の女性が死亡するという痛ましい事故がありました。
崩れたがけはマンションの敷地の一部となっているようで、マンションの管理組合を通し、マンション住民の責任が問われることになりそうです。
逗子市のハザードマップを見ると、自己のあった場所は「急傾斜崩壊危険区域」には入っていなかったようですが、すぐ近くには指定されているところがあります。
西山ライフデザインがある東京都大田区でも擁壁がある土地は少なくありません。
敷地に傾斜や、隣地との高低差がある場合に、斜面や段差の崩壊を防ぐために構築されるのが擁壁です。
不動産の売買等に携わる不動産業者は、取引の対象となる不動産に擁壁がある場合には当然その擁壁に関する調査も行います。
しかし、既存の擁壁が安全かどうかを確認するのは容易ではありません。
図面が残っていれば当然確認しますが、作られてから時間が経っているものは図面が無いものもあります。
役所の検査を受けていれば「検査済証」が発行されているはずですが、検査を受けていないものもあります。
作られた時期によっては検査を必要としていなかったものもあります。
(そもそも擁壁の高さが2m以下の場合は検査を受ける必要がありません)
擁壁の材質・構造、ひび割れや劣化の状況、水抜き穴の有無などは目視で確認します。
一見して「この擁壁はヤバイ」というものもありますが、特に問題がなさそうなものでも100%安全であるという確認を行うことは難しいと言えます。
擁壁の状況によっては建物の計画に支障が出る可能性もあります 確認申請が下りないケースもあるほか、建物を擁壁から話して建築したり、深い基礎を作ったり、もし上部の擁壁が崩れても人命に影響がないような計画を検討するなどのケースがあり得ます。
現在擁壁のある土地を所有されている方にとっては、その扱いは避けて通れない問題です。
今回の逗子の事故のように人命にかかわることもあります。
擁壁に絡む土地の売却を検討されている方にとっては価格にも大きく影響する可能性もあるでしょう。
購入を検討されている方にとっても擁壁の再構築の必要性や想定している建物の大きさが建つかどうかなどやはり大きな影響があります。
擁壁の再構築や補修には大きな費用がかかるケースがあるほか、隣地への影響なども考慮しなければなりません。
隣地と共有の擁壁などは工事ができないケースもあります。
不動産業者の中には、あまりその影響について考えると売買が成立しないリスクなどを考え、しっかりした説明を行わない業者もあります。
売買した土地で後で問題になれば損害賠償などの問題になると思いますが、事前の調査や様々な検討を行う必要があることも考慮しておきましょう。
また、現在所有している土地に擁壁がある場合には、今回の事故の様なことがないよう、管理者として安全対策を検討すべきです。
特に今回はマンションの敷地でした。
マンションに関しては、敷地の管理責任は管理組合を通してすべての住民が負うことになります。
危険性があると考える場合は自主的な対応が求められます。
「誰かが考えるだろう」と人任せにすることは許されません。