ファーウェイ問題は思った以上に根が深い
先日、カナダで中国のIT機器メーカーファーウェイのCFOが逮捕され、話題になりました。
問題はもう多くの人が気づいている通り、中国の一企業の問題ではなく、米国と中国の安全保障の問題が深くかかわっています。
もちろん、アメリカだけでなく、多くの国が関係してくることになります。
IT業界は今後のIoTや5Gの拡大に向け、そのスタンダードの座を獲得すべく熾烈な開発競争が進んでいます。
ファーウェイは既に中国のほか、ヨーロッパやアフリカにも拡大、日本のみではなく多くの国に拠点を展開しIoT、5Gの開発競争においてもかなり進んだポジションにいます。
今後の世界・社会は通信技術なくしては成立しなくなります。
先日のソフトバンクの通信障害でも問題になりましたが、航空機の発券や宅配業者は相当混乱しました。
様々な方面で進む開発において、通信インフラの信頼性は非常に重要。
鉄道、飛行機、船舶なども通信がなければ運行できなくなっています。
今後、自動運転技術の進化も通信は欠かせません。
カードの決済はもちろんですが、今後はスマートホンによる決済も本格的に普及期に入ると考えられます。
これらのお金に関することでももはや通信は必要不可欠です。
現在でもAIの学習に必要なビッグデータの収集などは行われています。
通信規格が5Gに移行すると、通信スピードが高速化、大容量通信、遅延が小さくなるなど様々な進化があります。
通信速度と大容量化により、通信は約100倍のスピードになり、2時間の4Kハイビジョン動画は何と3秒でダウンロードできるようになると言います。
低遅延化により遠隔地からスーパードクターがモニターを見ながら手術ができるようになるとも言われています。
5Gの導入は、様々な技術進歩を加速させることになるでしょう。
他にも、一度にたくさんの機器を同時に使えるようになったりします。
より詳細なデータ収集ができるようになることでビッグデータの収集効率も格段に上がり、AIの能力も格段に向上するでしょう。
もちろん軍事機密や政治の中枢にかかわる部分でもそのプラットフォームになることになります。
そんな技術だから安全性、安定性が非常に重要です。
悪く考えれば、意識的に障害を起こすことができてしまえば世界中が大混乱になります。
ファーウェイは中国企業であり、中国による情報提供要請があった場合、応えてしまう可能性が高いことになります。
これでは安全性が担保されないと考えてしまいます。
また、もう一つ、ファーウェイは5Gに向けた技術開発でかなり進んでいます。
アメリカとしては、5G規格のスタンダードをアメリカ主導で確立していきたい考えがあるでしょう。
そんな中で、トランプ大統領は国として、自国の産業の保護、発展を促す「アメリカファースト」を展開し、一定の支持を得ています。
その一環でファーウェイつぶしに出たとも考えられます。
この問題、安全保障面での問題も絡み、そう簡単な話ではなさそうです。