「健康寿命」と「読書」の関係
先日10月13日、NHKスペシャルで
「AIに聞いてみた どうすんのよ!?ニッポン」
というタイトルの特集が放映されました。
この回のテーマは「健康寿命」
(なんとなく、我が家のレコーダーはNHKスペシャルを録画予約しており、撮ってあって観ていなかった番組を昨日観ました)
そこで、AIからの面白い提言が出ていました。
これはひょっとして「世紀の大発見!」(ちょっとおおげさ!?)ではないかと感じました。
日本人の寿命はご存知の通りどんどん長くなっています。
これは、医療の進歩や戦争など生命を脅かす脅威がないことなども大いに関係しています。
その一方で、寿命(命が尽きるまでの長さ)と、健康寿命(人の手を借りずに自立して生活できる期間の長さ)の間には約10年もの開きがあるのが実情です。
社会保障制度の中でも医療費の増大は深刻で、健康寿命が伸びることは社会的要請でもあります
また同時に、個々人にとっても健康寿命が伸びることを歓迎しない人はいないでしょう。
NHKが独自に開発しているAI「ひろし」にはさまざまな資料やアンケートなどのビッグデータが取り込まれています。
そのAI「ひろし」君がはじき出した「健康な高齢者」に共通する生活環境の中にとても興味深いものがありました。
それは
「健康寿命を延ばしたければ本を読め」
というものでした。
「読書の効用」
なんとなく健康に生きるためには「食事」と「運動」が最も寄与すると思っていました。
この「食事」「運動」よりも「読書」が健康寿命を延ばすことと強い相関性があるというのです。
番組の中では「山梨県」の健康寿命の長さが取り上げられ、事実、山梨県は人口10万人当たりの図書館の数が最も多いことが取り上げられました。
図書館司書制度も早い段階から取り入れられているということです。
考えてみれば、確かにそこに相関性がありそうだとも感じます。
本の種類は何でも良さそうです。
小説、歴史書、ビジネス書、自己啓発本などのほか旅行雑誌や観光案内などもOK。
本を読むことで考えたり、想像したりすることも増えるでしょう。
さらに、本屋や図書館に行くために公共の交通機関を利用したりすることも健康寿命に寄与するようです。
「親族と同居するより一人暮らしがいい?」
もう一つ興味深かったのは「ひとり暮らし」が良さそうだということ。
番組では「ひとり暮らし」について、どのような一人暮らしかによって良くも悪くもなり得ると考えられるとしていました。
身の回りの世話を誰かにしてもらい、あまり外出せず引きこもっていると健康寿命には逆の相関性が発生します。
一方、自分の身の回りのことを自分でやり、外に出て仲の良い人たちと交流することで健康寿命は伸びる。
・自分のことは自分でやること
・社会のコミュニケーションを維持すること
これらが健康寿命に寄与すると考えられると考えられるということです。
AIの活用と未来
AIは膨大なデータから、人間では思いつかない相関性を発見するということに関して絶大な力を発揮し得ます。
一方で、AIの導き出した相関性がどのような経緯で導かれたかについては教えてくれません。
まるで、「風が吹けば桶屋が儲かる」的に直感的には相関性について?となるようなものも出てきます。
最近、いろいろなところで「AIを用いた解析では…」などと書かれた記事などを目にします。
これからもAIは進化し続けて行くでしょうが、現時点のAIは万能ではありません。
AIにはできないこともたくさんありますし、そもそも傾向を分析するためには膨大な量のデータが必要です。
今回の番組で用いたAI「ひろし」はAIの能力を存分に発揮した良い活用例だと思います。
そして、今回の発見「健康寿命を延ばすには本を読め」というのはものすごくよい着眼点ではないかと感じました。
各自治体では、健康寿命を延ばすために様々な努力をしていると思います。
最近では自治体が高齢者の生活を支援する仕組み(例えば大田区では地域包括支援センターなど)を整えつつあります。
病院や医療機関のネットワークの充実より、図書館を増やしたり、引きこもりがちな高齢者を外へ連れ出す仕組みづくりが効果的なのかもしれません。
また、自治体では図書館を整備・維持・管理する部署と高齢者の健康を考える部署は全く別です。
とかく縦割りと言われ批判される役所ですが、全く違う機能に相関性がある可能性があることを考えるとこれまでとは違う部署間が連携する仕組みも重要になりそうに感じます。