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建築費は当分下がらない 建築費は当分下がらない
建築費は当分下がらない

建築費は当分下がらない

ブログ 2018.11.16

オリンピックまであと2年を切りました。

ボランティア募集も、都の対応にさまざまな批判が上がっていることもあり、どうもうまくいっていない感じがします。

(経過の報告などは発表されていませんが、私も周りの人の反応も薄いように感じます)

そもそも、ボランティアは無償の労務提供であり、見返りを求めてやるものではないでしょう。

今年の流行語大賞にノミネートされた「スーパーボランティア」のごとき神様みたいなボランティアはなかなかいないと思いますが、募集する側があまり横柄な態度だったりすると集まるものも集まらないと思います。

ボランティアの人たちが求めるのは金銭的な見返りではありませんが、ただこき使われるためだけに参加するのではありません。

参加した人が

「国を挙げての一大イベントに貢献できた」

「様々な人に『ありがとう』と言われたい」

「世界から集まる人に『日本のすばらしさ』を伝えたい」

といった「達成感」や「感謝の気持ち」が不可欠であり、そうした意識を満足させてくれるボランティア活動である事をアピールしたうえで募集すべきでしょう。

過度な負担を強いられると感じてしまうような募集の仕方はうまくいかなくて当たり前です。

 

さて、本題に入りましょう。

オリンピックを迎えるにあたり建設需要が旺盛になっていることもあり、建築費が高騰していると様々なところで話題に上ります。

では、オリンピックが行われる2020年を超えれば建築費は下がるのか。

私はそう大きくは変わらないと考えています。

ダイヤモンド誌にこんな記事が掲載されています。

私も大筋でこの通りだろうと考えています。

 

「五輪後に建設費が下がる」はウソ!むしろ上がる可能性が高い理由

 

建設需要が減退し、建設会社が受注を確保するのに必死になるような状況になれば、様子は変わるでしょう。

しかしながら、2013年にオリンピックの東京開催が決まり、建設費の上昇が懸念されたことから、建替えや改修工事を先送りしてきたケースも多く、オリンピック後もしばらくは大きく需要が減退することはないと思われます。

さらに、建築費が高騰している大きな要因として人件費の高騰があげられます。

人件費は建設業従事者の奪い合いでも高騰しています。

現場で働く職人が減っていることも大きな価格高騰の要因です。

 

私は、以前ゼネコンに勤務していたころからお客様に持論として、「建設業の構造的な価格高騰継続の可能性」をお話ししてきました。

国土交通省の調査によれば、建設投資はバブルの時の平成4年(1992年)をピークに平成22年(2010年)まで減少し続けました。

(建設投資額は1992年の84兆円、2010年には41兆円と半減した後やや持ち直し、2016年は52兆円)

建設業就業者数は1997年の685万人をピークに減り続け、2018年には492万人とピーク時の28%減となっています。

 

2008年のリーマンショックによる建設・設備投資の減退。
2009年には記事にもある通り、民主党政権時代「コンクリートから人へ」という政策の下、公共投資は抑制。
2011年に東日本大震災が発生し、職人の確保が非常に厳しくなっている現実に直面。

2013年にオリンピック開催が決まってからは既に述べたとおりです。

建設業者は「良質な熟練工」を確保したいと考えます。

熟練工は熟練のためにその仕事に長く携わってきた「職人」です。

職人の熟練度はいわば人間の筋肉のようなもの。

筋力は継続的なトレーニングの結果、大きなパフォーマンスを発揮します。

職人も同じ。

継続し続けることで能力は高まっていきます。

ところが、この業界に携わる人が減少したことで筋力の低下が起きています。

職人の高齢化。需要減退期にリタイアや別の仕事に移った人も少なくありません。

人口減も影響し労働力人口、新規就労者の減少。

この傾向はやや沈静化してはいるものの未だ下げ止まっていません。

もちろんこの間に、建設業者の効率的な施工方法などへの取り組みにより、従来に比べ少ない人数で施工できるような仕組みは進んできていると思います。

今後、機械化、ロボット化などの推進により、さらに効率化は進むでしょうが、劇的な需給バランスの改善にはまだまだ時間がかかりそうです。

 

さらに、建設資材の運搬などに携わる大型車両の運転手なども人件費が上がっています。

最近の通販需要により、大手の宅配業者等が値上げしていることはさまざまな報道でも取り上げられますが、こうした宅配業者の大型トラックの運転手と例えばダンプや資材搬入車両の運転手は同じ業界であり、より条件の良い仕事に流れます。

 

また、これらの人員の確保は建設業者の消化能力(施工することのできる仕事量)に直結します。

 

 

 

工事を発注したい人、工事の量(需要)と、施工する会社の消化能力(供給)とのバランスは、需要が大きい状態が続くと考えられます。

結果として、2020年以降も当分価格は下がらないと考えます。

長い目で見れば、工事施工のロボット化、機械化、自動化などの推進による技術革新や、トラックの自動運転技術の進歩が進めば状況は変わっていくでしょうが、当面は今の状況の改善は見込めないと思います。

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