映画「空飛ぶタイヤ」を見ました。
池井戸潤小説のファンということもありますが、この映画の原作本である「空飛ぶタイヤ」に関してはちょっと自分の心の中に引っかかることもあって今まで読んでいませんでした。
この度、この小説が長瀬智也主演で映画化されたので、自分自身と向き合うためにも「見よう」と決め、見てきました。
話は、大型トレーラーの車輪が外れ、人に当たり、若いお母さんが子供の目の前で亡くなってしまう事故から始まります。
当初、このトレーラーを運行していた運送業者の「整備不良」されたこの事件。
本当はトレーラーを製造したメーカーがこの車種に構造的な欠陥があることを隠していた「リコール隠し」事件として展開します。
(予告編でも語られているのでここまでならばネタバレにならないでしょう)
僕は原作は読んでいませんでしたが、この話をとてもよく知っていました。
この話は実話を元にかかれています。
そして、そのメーカーは前職で私が営業担当として出入りしていた会社でした。
僕が営業担当になったのはその事件が明るみになり、会社の経営が傾き、系列会社の資本によって救済された後でした。
僕は営業マンとして、お客様と接するとき「その会社、その会社の人を好きになろう」と思っていました。
全ての会社のことを好きになれるわけではありませんでしたし、すべての人を好きになることもできませんでした。
でも、その会社のことを好きになり「その会社のための役に立ちたい」と思えなければ僕の中での営業活動は成り立たなかったと思います。
その考え方は今でもあります。
おそらく、好きになれない方や会社の仕事はこれからもできないと思います。
余談になりますが、僕の営業活動の師匠と言ってもよい人がやはりそのように話し、とても説得力がある話だったことを憶えています。
残念ながらその方はもう10年ほど前に亡くなられてしまいましたが。
話を元に戻します。
そのメーカーの工場で働いている人達を僕は好きでした。
しかし、この本を読むとその会社を好きでいられなくなるのではないかと思ったりもしました。
今、僕は前職を辞め、自分自身で起業しているわけですが、そういう立場であっても本屋で、池井戸潤コーナーに寄り、「空飛ぶタイヤ」を手にすると、なんとなくその時のことが思い出されレジまで持っていくことができませんでした。
改めて自分自身と向き合うために観ようと決めました。
子を持つ親として、もし自分の家族がこのような事故の被害者になるようなことがあったらと思うと本当にいたたまれない気持ちになります。
ひとりの会社ではありますが、経営者として誤った判断が人を苦しめることにつながることを改めて感じました。
また、理不尽な事に目を背けず、向き合うことの大切さも感じました。
よくできた映画です。
近いうちに原作も読もうと思います。