ご高齢者の賃貸住宅探し(苦戦しました)
2月の初め頃、ある電話がかかってきました。
あいにく出られなかったので留守番電話にこんなメッセージが録音されました。
「雪が谷大塚周辺で賃貸を探しています。ご紹介いただけませんか。」
弊社では、1階に店を出しているわけでもなく、管理物件があるわけでもありません。
積極的に賃貸仲介の営業をしたこともほとんどありません。
なぜ、僕のところにお電話されたのだろう…という疑問もありましたが、電話の声が結構悩まれている様子だったこともあり、吹き込まれていた連絡先の電話番号に折り返しで掛けました。
お電話をいただいたのはお年寄り。
ご自身がお住まいのアパートが近いうちに取壊しになるらしく、移転先をお探しになられているとのことでした。
お話を伺うと90歳くらいのお年寄り。
65才くらいの息子さんとお二人でお住まいですが、息子さんは忙しくお仕事をされている関係でなかなか不動産探しができない状況。
どこで、弊社のことをお知りになったのか伺うと、
「「104の番号案内で雪が谷大塚の不動産屋さんを紹介してください」と伝えたら一番最初に案内されたのがお宅だったのよ」
そんなこともあるのか、とちょっとびっくりしましたが、ご連絡いただいたのも何かの縁。
お力になれればと思い対応しました。。
ご想像のとおり、難航しました。
まず、見せていただける物件が少ない。
ちょうど2月、3月は賃貸市場は大変な繁忙期。
物件は新陳代謝が激しい時期でもあります。
繁忙期が終わり、埋まらなかった部屋はいろいろな意味で条件を変えてでも埋めようとするのでしょう。
しかし、繁忙期は明日申し込みが入るかもしれない。少しでも素性の良い賃借人に住んでほしいと思うのが大家さんの心情でしょう。
「90才くらいと65才くらいのお二人の入居希望者なのですが」と伝えると「難しいです」という返事が帰ってくるケースが非常に多い。
100物件くらい電話。かけた電話の9割近く断られたと思います。数件を内覧にお連れしました。
1件申し込んだら「内覧の時に拝見していたらかなり耳が遠いようで、あのボリュームで話されるとクレームが出る」と管理会社から断られました。
やっとのことで、ご希望に概ね沿った物件に申し込みができ、大家さんと審査会社のOKもいただけ、先日契約しました。
先日、高齢者の住宅探しは大変、というブログを書きました。
本当に大変です。
これからこのような事例は増えると思います。
誰しも、好んでこのような苦しい状況になるわけではないでしょう。
幸い、この方は息子さんが近くにいらっしゃり、一緒にお住まいになることもできたので移転先を見つけることができました。
もし全く身寄りがなかったらと思うとゾッとします。
お子様がいらっしゃらなかったり、、近くにお住まいでなかったらもっと難しかったでしょう。
自分は大丈夫、と思っていても、先に配偶者やお子様に先立たれたりすれば他人ごとではありません。
今回のお客様は賃貸でしたが、今後20年、30年後自身が高齢者となり、住んでいるマンションが建て替えになることが決まる、なんていうことがあれば同じようなことにもなりかねません。
FPとして「自分は大丈夫」と思う前に改めて将来のリスクを考えなくてはいけないと感じました。