「働き方改革」のあるべき姿
厚生労働省のホームページにかかれている「働き方改革」が目指す方向はこのように書かれています。
● 我が国は、「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」「育児や介護との両立など、働く方のニーズの多様化」などの状況に直面しています。
● こうした中、投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ることが重要な課題になっています。
「働き方改革」は、この課題の解決のため、働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指しています。
これを見るとわかるように、「働き方改革」はただ単純に労働時間を短縮することを目的としているものではありません。
生産性の向上など、企業側に求められる従業員の「働き方改革」への取り組みもあります。
その一方で、労働時間の短縮によって生まれる自分の時間の使い方、自分自身の生産性向上や自分自身への投資を行うことを考える必要があるでしょう。
将来の年金など、人生100年時代の長期にわたる老後生活費への不安もあります。
これからは自分自身を守るための能力を身に着ける必要があります。
年金制度への不安
日本の人口における年齢別の人口構成は下図のようになっています。
(出展:ウィキベディア)
図は2016年のものですので、年代別の最大人口となる団塊の世代が60代後半~70代に差し掛かっています。
次のピークである団塊ジュニアの世代が40代半ば。
その後の世代は縮小していることが改めてわかります。
年金は制度設計時の前提が崩れている
年金制度の歴史を紐解けば、もともとは明治時代、軍人への恩給制度から始まったものですが、昭和36年(1961年)に国民年金の事業が開始されました。
昭和41年(1966年)に厚生年金基金制度が発足。大企業が採用し、後に同業種等で設立する総合型が増えていきます。
昭和61年(1986年)に全国共通の基礎年金制度が導入され、今の年金制度の型が整いました。
その当時の出生率は1.72くらい。
理論的には2.00を超えないと(実際には途中で亡くなる方もいるのでもう少し必要ですが)人口は減っていきます。
既に人口減少社会の予兆が出ていたことは今になればわかります。
その当時は団塊ジュニアの世代がさらにその子を設ける年齢、すなわち2000年前後にはもう一度出生率が上がるというような波があるものだろうと予測されていたはずです。
しかし、その波はありませんでした。
結婚年齢の晩婚化や、未婚者の増加などの影響が大きいと思われますが、子育てに伴う教育資金に関する不安もあるでしょう。
2000年頃はバブル崩壊から9年程度が経過しているものの、国民が「豊かさ」を感じにくい風潮だったこともあり、結婚することへの不安や子育てに対する不安などを感じる人も多かったのではないかと推測します。
今後も出生率の大幅な改善は見込めないことから、今後ますます労働力人口の高齢者人口に対する比率は減り、労働者一人当たりの負担が増えていくことは容易に想像できます。
年金の支給年齢の繰り下げがすでに行われていますが、今後、支給額の減少なども否定できません。
ファイナンシャルプランナーがお客様に将来設計のお話をするときには、将来も今の年金制度が維持される前提でお話しします。
しかしながら、この仕組みもどうなるか怪しい。
ひとりひとりの「働き方改革」
少子高齢化が進み、人生100年時代と言われるようになり、年金制度に歪みが生まれていることがわかっています。
だからこそ、自分自身を高めるためにできることを考え、行動に移す事。
それこそが、ひとりひとりに求められる本当の働き方改革ではないでしょうか。
もはや企業が一生守ってくれる時代ではありません。